第3章 第2節『 総合生活支援技術演習』で総仕上げ

こんにちは、石田です。初任者研修講座の総仕上げは『総合生活支援技術演習』です。事例を通じて、その方のこころとからだの力が発揮できない要因を分析し、ご本人にとって適切な支援技術とは何かを検討する。そして、その方の心身の状況に合わせた介護を提供するために必要な視点について、理解することがこの章の目的となります。今日まで学ばれた知識や技術を活用して、個別介護計画を立案し、そのプランで『演習』する内容となります。利用者側、介護職側それぞれの役になりきる。いわゆるロールプレイですね。

 そのためには、まずICF=国際生活機能分類をしっかりと押さえることと介護過程の展開を理解することが大事なポイントになります。ICFは障害の理解の科目で少しふれてたのですが、一回聞いただけでは分かりにくい内容です。事例をふまえて何度も取り組んで繰り返します。

  ICFを再度、確認

このあたりの内容は、次のステップアップとして『介護職員等実務者研修講座』でしっかり丁寧に学ばれるかと思います。そのため、イントロダクションのような形で説明しております。

  介護過程の展開(大切なポイント8つ)

そうはいっても、いきなり立案と言われても…。なので、『仮説検証法で検討するワーク』で柔らか頭になって頂きます。

 思考トレーニング Aさんの事例

思考トレーニング Aさんの事例では、食事をするAさんが魚だけを残す理由と解決方法を考えて頂きます。事例の情報はほんのわずかなので、『~かもしれない』と見立て自由に展開していきます。皆さん、最初は魚やAさんの好き嫌いなどの意見が多いのですが、ヒントを出すと、どんどん想像が広がり色んな意見が飛び出してきます。この想像力が大事です!

この事例ではAさんの情報は殆どありません。プランを立てるには、まずその人を知ることが何よりも重要です。現在の難しいと思われることや困り事をひもとくヒントは『過去』にあるものです。その人を知るということは、過去にも目を向けてその方全体を捉える事が大切ですね。現在と未来のギャップが『目標』になるわけです。

 特にヘルパーさんの情報は重要!

この後に、受講生さん同士で「私のこだわりシート」というワークでアセスメントシートでは洗い出せない情報をお互いに開示して頂きます。

 事例の鈴木さんを知ろう!

3つある事例のまず、1つ目の事例の鈴木さんは皆さんと一緒に掘り下げてみます。事例から感じた鈴木さんのイメージから始まり、病気や心身の状態や力が発揮できない要因などを分析します。そこから、グループに分かれて難しい点と必要なケアに関連付けて考えていきます。

2つ目、3つ目の事例は、グループ毎にどちらか選んで頂きます。ここからは、グループ発表に向けて各グループ、ワークに取り組みます。

 グループで話した内容をまとめて

 グループ全員が役割をもって発表

テキストには模範的な支援内容が記載されていますが、参考にしながらも各自の視点がプランに反映され毎回、感心いたします。

発表のあとは、場面設定や必要物品をそろえます。ここにも、各グループのこだわりが見られます。

演習の時間は、劇団のオーディションのような雰囲気。

 受講生、講師が見ている中で

 演習スタート!

主に実習では、その一場面だけの実技ですが演習となると一連の流れとなります。実習では、出来ていたことが演習では、すっかりと忘れていたり、抜けていたり。そのことにも気付いていなくて、終わってから気付くこともあるようです。それぐらい一生懸命に取り組まれているわけなんですね。

もちろんスムーズに出来ることが良いのではありますが、むしろ思い切り『しまった』を経験してほしいと思っています。その理由は、今しかできない経験をしてたくさんの気づきを得て頂きたいからです。何となく上手くできるよりも、人一倍の苦労をして、また努力もした経験の方が貴重です。皆さんが将来、先輩として教える立場になった時にきっと役立つはずです(‘ω’)

第2章 第9節『死にゆく人に関連した・・・』は、今後の在宅には必須の内容

ごぶさたしております。石田です。初任者研修講座のしめくくりは、『終末期』。人は誰しも老いていき、いつ死ぬか分からない。必ず、死を迎えます。避けては通れない道です。それには、終末期のとらえ方や死までの心身機能の変化を理解し状況に合わせた対応が求められます。とても大切な内容ですが、朝いちばんからとなりますと、なかなか重い…気がします。

 まずは、アイスブレイクも兼ねて「みる」と読む漢字を一つずつホワイトボードに書いて頂きます。見る・観る・看る・診る。この4つは、わりと皆さん、すんなり思いつかれます。その後の3つが、難しいようです。普段の会話では特に使い分けている意識は殆どない「みる」ですが漢字で書くと『確かにっ‼そう』と納得できます。お医者さんの診る、看護師さんの看る、様子や状況を観る、その方の生活全体を覧る、介護職はその立場でいろいろな視点でみていることに気づかされます。そして、その視点で得たことを関係する専門職種と連携を図ることが重要になってきます。そのために各科目の内容を理解することが必要なんですね(=゚ω゚)ノ

  漢字の問題をよく出すよう・・・

今回は、この中の「看る」から『看取り』につなげて授業をすすめていきます。

終末期について、アドバンスケアプランニング(ACP)=人生会議やデスカンファレンスグリーフケアリビングウィルなど、ここ最近のキーワードとして挙げられますね。また、キューブラーロスの死の受容終末期のバイタルサインの変化などをしっかり押さえておきたいところです。

日本が少子高齢化の真っ只中で今後も加速することは皆さん、よくご存じだと思います。その少子高齢化の意味することに、これから「多死社会」も加速するということです。厚生労働省のデータによると2040年には死亡者数がピークになります。

41万人が看取り難民化すると推計されています((+_+))…病院の入院ベッドが不足することによる死亡場所不足。いわゆる看取り場所が足りなくなるということなんですね。

現在の日本では病院で亡くなることが殆どですが、今後の状況を考えると在宅で看取ることが多くなってまいります。かつてのように、自宅で家族に見守られながら最期を迎えることが普通だった、あの時代のように『自宅』で看取ることになるのですが、そこには家族以上に医療や保健、福祉サービスの専門職チームが見守っているのかもしれませんね。

 終の棲家に代わる住まいも色々

 グリーンライフ・カレッジでは、テキストにはないのですが、独自で『エンゼルケア』の実習を取り入れています。

エンゼルケアとは、「死後のケア」のことです。死後に行う処置、保清、エンゼルメイクなどのことで、『逝去ケア』とも呼ばれます。その目的は、亡くなった人のセルフケアの代理であると考えられており、その方の代わりに行うといった気持ちで臨みます。

私事ですが、介護の仕事に就く前は病院で看護助手をしておりました。その頃に、たくさんの方のエンゼルケアをさせて頂きました。初めて担当した時のことは、今でもよく覚えております。

ご家族から「母が一番気に入っていた着物と帯を持ってきたので、これでお願いします」と渡されたのですが、着物だけでなくお襦袢から腰ひもからあり、何とか着物を着て頂いたのですが 、次に帯の巻き方が分からない。ペアになった看護師さんと「あーでもない」「こーでもない」と四苦八苦して着付けたものの、襟元が逆になっており、また着付けをし直し・・・。初めてだっただけに、本当に勉強になりました。

最初の頃はエンゼルケアの対応にあたると、その後は食事が入らないほど感情移入をしておりました。じょじょに慣れてくると、業務の一環として平気になっていることに違和感を覚えるようになり…。そういったことから介護職に転職した経緯があります。今振り返ると、当時は本当に貴重な経験をさせて頂いたと改めて思います。

では、エンゼルケアの実習内容を紹介します。

まず、点滴などの挿入物を抜いて傷があれば処置を行います。次に、温タオルまたは、洗面器に逆さ水(水にお湯を注いだもの)を用意し、タオルで全身の清拭をします。身体の穴(耳、鼻、口、肛門など)に青梅綿を詰めます。最近は、専用のゼリーなどを注入するキットなどがあります。

上記の内容を終えたところから、人形を使って実習を行います。

陰部洗浄の後にオムツを装着し、汚物による寝衣の汚染を防ぎます。

 新しい寝間着に着替え

和式寝間着は「左前身頃」「縦結び」なるように着用します。

口が閉じない場合は、顎の下にタオルを丸めて固定することもあります。

 タオルでも難しい際はあごバンドで固定

 胸の上で手を組み合掌バンドを巻き

 エンゼルケアが完了

 最後には顔あてをかぶせます

今回、エンゼルケアで使用したものは、あごバンド、合掌バンド、顔あての3点セットです。(ちなみにAmazonさんで購入しました。)

 エンゼルケア 3点セット

実習では省いていますが、『エンゼルメイク』について、少しご紹介します。男性女性にかかわらず、化粧水やクリームを塗ってから、薄くファンデーションやほほ紅で肌色を整え、口紅を施します。その表情には、生前のお姿が偲ばれます。エンゼルケアの中で一番、気持ちを込めて丁寧に行います。何より私自身が一番好きなケアでした。

エンゼルケアというのは、亡くなられたご本人だけでなく、ご家族への対応なども含んだ臨終後の全てのケアをさします。その方の最期にかかわらせて頂ける大事なケアになります。今後、増えるであろう在宅での看取りを担っていく皆さんには是非とも知っておいて頂きたいと思います。

第2章 第7節『排泄に関連した・・・』は介護の心構えと姿勢を改めて振り返る!

こんにちは、石田です。今回は実技演習最終の科目「排泄」についてご紹介します。排泄は、人の三大欲求にも含まれ生きていくためには欠かせない行為です。単にからだの中の代謝で不要になった老廃物を外に出すだけではなく、排泄物の性状や状態は健康状態を示すバロメーターであります。そして、何よりも『人に見られたくない』行為です。視覚的だけでなく、音がもれないことと言った聴覚的・臭いが漏れないと言った臭覚的にもプライバシーが侵害されないように配慮すべきことです。人の尊厳にかかわる行為でもある排泄は、介護をする側にとって心身ともにストレスがかかり、負担になります。知識や技術だけでなく利用者側、介護職員側、それぞれの立場になって体験をして頂くことに重きをおいています。

 まずは排泄用品の基礎知識として、いろいろな排泄用品にふれ素材や感触や大きさ、作りの違いなどを試してもらっています。

 排泄用品の品評会のよう

『おむつの構造』では、実験をして頂きます。紙おむつの断面図や実際に水を吸収させて、その様子を観察します。実験に使った紙おむつのポリマーはガラス瓶に入れて水、アロマオイルを少し垂らしエコな芳香剤として活用します(=゚ω゚)ノ

 ペットボトル2本分の吸水にΣ(・ω・ノ)ノ!

 高分子吸水ポリマーは吸水すると、数10倍〜数100倍になります

他にも、尿器・差し込み便器を使う上でのポイントや留意点をお伝えしています。在宅でも施設でも、あまり使う場面はないかもしれませんが、知っておくことが大切です。

実習では受講生同士でおむつ交換をします。紙おむつをつけたまま、動く・歩く・座るなどの動作を通して、動きづらさや不快な感覚を知って頂きます。ベッドでの生活であっても、尿意や便意があり座位の保持ができるのであればせめて、日中はトイレでの排泄にこだわりたいですね。ご本人の排泄機能を低下させるだけでなく、生活意欲まで低下させてしまいます。紙おむつの使用は最終手段、これは鉄則です‼

午後からは、陰部洗浄の実習。ビニール製の実習人形で行います。空気で軽い上、関節が曲がらないこともあり、人形を支えないといけない場面が多々あります。人形であっても「〇〇さん、向こうの柵を持ってください」といった具合に、ちゃんと声掛けをします。すると、どなたかが人形の利用者になりきって返事を返すことがお約束になっております。実技演習最終ともなると、自然と和ができるのです(*’ω’*)

 まずは、紙おむつ・パットの交換になれる

お通じを想定して、「黄な粉」を使って陰部洗浄とおむつ交換を行っています。

 準備は万端に、手際よく♪

授業の最後は、ベッドからポータブルトイレへの誘導です。片麻痺の方の残存機能を活用、自立支援を促す配置、安心して用が足せる環境の整備、プライバシーや羞恥心への配慮・・・。このブログを書きながら、改めて気づいたのですが、6日間の実技演習の総まとめのような内容となっています。

実技演習の様々な場面を通して、受講生さんのひととなりが、言葉かけ一つ、関り方一つに感じられます。実技の課題を難なくクリア出来ていれば良いと思われがちですが、知識や技術は後からいくらでも身につきます。それ以上に、介護をする、支援をする心構えと姿勢が大切であると常に思います。

 自然と気遣う声掛けになっています

上手くできなくても、何回もやり直しても、間違っても、良いのです。『いつも、みんなの足をひっぱってる・・・((+_+))』なんて思わなくても良いのです。何もかも初めてのことに、最初から上手くいくことは偶然で、単にラッキーなことなのです。それよりも失敗を重ねて「どうしたら・・・」を考え、教えてもらうといった経験の方が役に立ちます。単に介護の手順や流れを覚えてそつなく行うのではなく、なぜそうするのかといった根拠を理解でき、場面や状況が変わっても、対応ができることが今後の現場での支援につながってきます。

第2章 第6節『入浴に関連した・・・』は目配り・気配り・心配りのスペシャリストであることが必須‼

更に、ごぶさたしております、石田です。前回の約3週間ぶりをはるかに更新し、1ケ月半以上ぶりのUPとなりました。その間また『何だかんだありまして...』と言い訳探し…(;^ω^)  いえいえ・・・今回は、ちゃんとした?‼理由がございまして。今日はまず、そのご報告からさせて頂こうと思っております。来年の令和5年度から『介護福祉士実務者研修」を開講することになりまして、設置に関する申請の準備をしておりました。介護福祉士を目指し日々、支援に励む皆さまに今後の現場に役立つ授業を展開していきたいと思っております ハイ(=゚ω゚)ノ

 実務者研修テキスト

その他に、6月中に2つの研修を修了致しましたヾ(*´∀`*)ノ♪ まず、一つ目は『介護職員のための喀痰吸引等研修』いわゆる3号研修というものです。かれこれ20ン年前のいぶし銀に光る?介護福祉士を取得しておりまして、当時は医療的ケアはなかったもので憧れの資格の一つでございました。2つ目は、『行動援護』従事者等養成研修です。オンラインでの研修でしたが、一方的な授業ではなく、講師の先生初め、受講生さんの発言からも気づきが得られる有意義な内容でした。このような学びのチャンスを与えてくださる会社に感謝ですね(*’ω’*)♪ ご挨拶のつもりが、またもや長くなってしまいました。

今回の科目は『入浴』です。人は、からだの汚れを落としたい時、リラックスしたい時、疲れをとってゆっくりと眠りたい時など、さまざまな理由で入浴をして、からだを清潔に保ち、爽快感や満足感を得ていると思います。入浴するスタイルやこだわりも色々あり、また時代とともに変化していっているのではないでしょうか?と言うのも、昭和30年代に内風呂が普及し始めますが、銭湯での共同浴場が主流でした。今では、家にお風呂があるのが普通であるものの、老化からの衰えや疾病で何らかの障害がある場合は、ご自宅での入浴やその動作が難しくなります。入浴は、ADL=日常生活動作が低下すると最初に自立できない動作と言われています。なぜなら、お風呂場まで移動する⇒衣類の着脱⇒入浴の動作(からだを洗う、浴槽をまたぐ)などの複合的な日常生活動作の組み合わせであるからです。

それだけではなく、その方の体調や心身機能、その能力などをアセスメントし身体状態の観察をしつつ、羞恥心や自尊心にも配慮を求められ、さらに体調の急変や事故にも対応しなければならない、まさに気配り・目配り・心配りのスペシャリストであることが必須になります。

ついつい、熱く語ってしまいました(;・∀・) では、授業の内容をお伝えしたいと思います。

ケリーパッドを使っての洗髪介助。バスタオル2枚と45リットルのナイロン袋、洗濯ばさみで作成します。

 ケリーパッド

以前は、受講生さん同士で洗髪をして頂いていましたが、最近は実習用のお人形を活用しております。(髪の毛がないので、洗髪の手順をして頂いています)ケリーパッドを現場で使うことはあまりないようです。実際には、紙おむつを使って洗髪後の処理も簡単にされることもあるようです。

 洗髪介助 

お次は、泡立てネット作って手浴を行います。泡立てネットは、ネットと輪ゴム2本で簡単に作れます。そのネットを使って、しっかり泡立てをします。泡には、2つの効果が‼①皮膚の汚れをはがして取って包み込む働き②摩擦による皮膚への負担を軽減するクッションになる働きがあります。

 きめ細やかな泡を作る秘訣はさ〇うです♪

 手浴の後は保湿もしっかり行います

実は、研修センターには浴槽の設備があります。(※お湯は流せません)

 普段はいろんな教材で隠れております

右片麻痺の方の入浴介助を利用者側、介護職員側の両方を演習します。教室の片隅にある入浴設備、お湯が出ないはずなのに、なぜか熱いのです。皆さんの熱意なのか、ライトが当たるからなのか、実際の入浴介助さながら熱い場所となっています。

 入浴介助は安全に安全に、気持ちよく

一般的な家庭のお風呂場を再現してますが、浴槽は半埋め込み式のため、浴室内がちょっとしたステージになっております。その為、なかなかの上り框が・・・。1段だけですが、階段昇降も兼ねての入浴介助となります。

入浴介助では、狭い浴室の中で前屈みや中腰になることが多く介護職員の腰に負担がかかります。利用者さんの安全を確保しつつ、介護職の身の安全も守ることも大事になってきますね。

第2章 第3節『整容に関連した・・・』は身じたくの大切さを理解する‼

ごぶさたしております、石田です。約3週間ぶりの更新となりました.../(;^ω^) 自分で決めた計画では、週に1回以上はUPだったのですが、何だかんだありまして...とついつい出来ない言い訳探しを始めてしまいます。「出来ない言い訳でなく、どうすれば出来るのかを考える」頭では理解できているのに、行動に移せない。こういったことは、仕事に限らず生活の中には、あふれかえっております。些細なことでも『なんで?』と掘り下げて考えて、さっと行動に移せる←これが習慣化できる人になりたいと常々思っております。ご挨拶のつもりが、ちょっと長くなってしまいました。

今回の科目は『整容』です。整容と言われても、普段あまり使わない言葉ですよね。言い換えたら、身支度や身だしなみのことです。例えば、洗面・整髪・爪やひげの手入れ・化粧、着替えなどのことです。この整容ですが、本人らしさをつくる上では大変重要なことにもかかわらず、介護の上では手を抜かれがちな行為でもあります。その方の生活の質を高める、心身とも健康になるだけでなくその方の尊厳を守ることにつながってくる行為でもあります。

以前、デイサービスで仕事をしていた時のお話になります。お迎えに伺っても、なかなかスムーズに出てこられない利用者さんの対応で悩んでいたことがあり、送り出しのヘルパーさんに入ってもらうことになりました。それですぐに解決かと言えばそれでも難しく、離れて住むご家族にわざわざ来て頂き、ヘルパーさんご家族交え3人がかりで何とか・・・いやいや、やっとでした。

そこにベテランヘルパーさんが担当されてから突如と状況が好転‼ 玄関先で和やかに談笑して待たれているではないですか(゚д゚)!

いったい、この劇的な変化は「何⁉」なんですが、このベテランヘルパーさんがされたことは「単に普通のことをしただけ」とのこと。さすが、ベテランヘルパーさん。さらっと言われる言葉にも余裕を感じます(*’ω’*)

では、普通のこととは・・・⁉いったい何?ですよね。それは、何も特別なことではなく自分がでかける時に行う=習慣としていることで利用者さんのペースで意向を聞いて行っただけだそうです。単に顔を拭いて、クリームをつける。その後に髪を整える。そして、鏡で見てもらう。これだけのことですが、ご本人にとっては大切にされている、丁寧に対応されていると感じられたのかもしれません。

誰にだって人前に出る時は、時や場所を考えて自分らしい身だしなみを整えようとすると思います。他人に不快感を与えたくない、良い印象をもってもらいたいなど心理的な部分も関係するため、そういった心の動きが行動につながってくるように感じます。授業では、身じたくを整える意義やその効果について理解できるように努めています。

  口腔ケアの説明をする土田先生

口腔ケアについては、実際にケアスポンジや口腔用の保湿ジェルなどをご自身で試し、その立場の方の理解を促します。

衣類の着脱介助は『脱健着患』が原則になります。私が学んだ時代は着患脱健だったような・・・。同じことなんですが、時々ごっちゃになってしまう時があります( ;∀;) 麻痺のある方の場合、脱ぐ時は麻痺のない方から=健側、着る時は麻痺側から=患側行うということ。その理由は、麻痺側の関節などに負担をかけないためです。

実習では麻痺側にグレーのアームカバーを付けて行いますが、介助する方も利用者役も麻痺側が分からなくなることも、しばしば。そもそも、デモを行う講師の私が『どっち⁈』となります。

左右間違っても、単に麻痺側だからではなく、まずは原則としてその根拠を理解することが大事ですね。

 ベッド上での更衣 

ベッド上での介助では、特にベッドの高さを上げる。ボディメカニクスを活用する。この2つが大変、重要になります。前のめりの姿勢のままでの介助になるので、腰にかなりの負担がかかります。腰は、身体の『要』ですから(‘ω’)ノ

 和式寝間着の更衣介助

和式寝間着=浴衣式の介護衣での実習も行っています。着られている方は、余りいないかもしれませんが・・・。だからこそ、取り入れています。なぜなら、今しか出来ない経験をしてほしいと考えるからです。

和装は日本を代表する文化にもかかわらず、着物離れがすすみ 着たことがない、七五三、成人式以来が殆ど。しかも着付てもらってなので、自分で着られる方が本当に少ない現状です。

自分で着られたとしても、年に数回も着物を着る機会もそうそうなく自分で鏡を見ながらとなると襟の合わせが逆になってしまっている。そんな方残念な方を祇園祭でよくお見かけしておりました。若い頃は、私もその幽霊のような一人でしたが( ´艸`)

整容の科目では、さまざまな介助があります。その中で、もっともよく行うであろう更衣の介助は、端的に言うと衣類の交換を行うことです。しかしながら、着替えられたらいいのではなく、その方の着たい服を自ら選択でき、プライバシーが守られ安心した中で行える。出来るところはご自身でやって頂く、その中で体調や着心地などの配慮を伝え対応する。こういった一つひとつがその方の『尊厳』につながるように思います。冒頭のベテランヘルパーさんは、かかわりの中で自然と実践されていたのではないとかと推測します。プロ意識を持った方だと、そう記憶しております。単に介護技術やノウハウだけでなく、その方のQOLを高めるその為のアシストと捉えることが何よりも大切だと考えております。